ピカァァァアアアッッ!!!
ゴロゴロ…ドドーーーーーーン!!
その夜 一人の男に大きな雷が落ちた。
近くには人家は殆ど無く、唯一大きな屋敷が
ひっそりとそびえ立っていた。
たまたま近くをドライブしていたカップルが
車の中で会話をしていた時だった。
雄一「今、近くで凄い音がしたよ、落ちたんじゃないかな」
鈴香「そうね、びっくりしたぁ。
今日は雨も雷もひどいし帰ろぅよ」
雄一「そうだね。でも、近くだし、ちょっとだけ
見に行ってみようよ」
鈴香「ぇえ…でも、わたし こわい…」
雄一「大丈夫だよ、もしかしたら大木が割れた凄いのが
見れるかもよ」
鈴香「んーじゃチョットだけ…」
雄一は写真家の好奇心がくすぐられ、ワクワクしながら
車を雷の落ちたと思われる方向へ走らせた。
雄一「ぅー何もないなぁ…確かにこっちの方角だったはずなのに…」
鈴香「ねぇ、もう帰ろう…」
雄一「そうだなぁ…しょうがないっか…あれ?」
鈴香「え、どうしたの?」
雄一「いや・・車のガソリンが・・
おかしいなぁ、今日の昼入れたばかりなのに」
鈴香「えーこんな山の中で・・いやだよぉ」
雄一「お、ラッキーあそこに大きな家があるぞ。
ガソリン分けて貰うとしよう。もってくれよぉ」
車は丁度屋敷の玄関の前でガソリンが底を尽き停まった。
この後 想像を絶する体験をすることになるとは
二人は想像もしていなかった…。
…つづく
ズズゥゥゥゥォォオオン……
屋敷はまさに そびえ立つように存在していた。
雄一「大きな屋敷だなぁ、美しいマダムが住んでるのかな」
鈴香「もぅ…そんなことはどうでもいいから、
早くガソリンなんとかしてよ…私帰りたい」
雄一「あぁそうか、そうか。でもここ インターホンが
ないなぁ…しょうがないな、お、ドア開いてるっぽいぞ」
雄一は恐る恐る玄関の扉を開いた。
ギィィィイイイ…
雄一「ここ 立派な屋敷にしては、建てつけ悪いなぁ。
すいませ~ん。ごめんくださーい。
ん?うあ!」
そこには 待ち構えたかのように
一人の年老いた小さな老婆が立ってこちらを見ていた。
雄一「あ、すいません…、実は車のガソリンが切れてしまって、もし良ければガソリンを少し分けて貰えませんか?」
老婆「…こんな雷雨の中、それはそれはお困りじゃろう。
ガソリンならありますよ…用意するまで 中で暖まって
いきなされ…そちらの女の子も濡れてるようだしの」
雄一「いいんですか!いやぁ助かります~」
雄一と鈴香は奥の暖炉の有る部屋へと、老婆に案内された。
老婆「でわ、すぐ用意するから ここで待っておりなされ」
老婆はそういうと、そそくさと部屋を出て行った。
雄一「いやぁ、助かったなぁ。しかも上がらせてもらえるなんて。 俺一度こんな大きな屋敷を見てみたかったんだよ」
鈴香「そうね。私も寒かったから、よかった」
しかし…老婆は いっこうに帰ってくる気配が無い。
もう何時間たったかも時計も無いので
雄一達にはわからなかった。
雄一「んーいったい何時まで待たせるんだろう…。
チョット俺探してくるよ」
鈴香「待ってよ、私も一緒に行くぅ」
雄一「じゃ二人でいくか」
二人「すいませ~ん、すいませ~ん」
二人は大きな屋敷をくまなく探し回ったが
老婆どころか、誰もいなかった。
雄一「おかしいな、外にいるのかな?」
鈴香「そうね、出て探してみましょう」
玄関にくると雄一は扉を開けようとした
すると…
雄一「あれ、この扉あかないぞ、おかしいな
おまけに 鍵らしきものも、ないじゃないか!」
二人は押せども引けども 扉は開かなかった。
雄一「しょうがない 他を探すか…」
二人は外に出ようと 窓や勝手口を探したが
全て雨戸が閉まっていて開く気配はなかった。
雄一「いったい どうなってるんだよ!この屋敷は」
鈴香「なんか私怖い…」
雄一「鈴、ここで待ってろ、俺は二階の奥を見てくるから」
鈴香「わかった…」
雄一は鈴香を暖炉の部屋へ残し
二階の奥へと向かった。
鈴香「…雄一大丈夫かな」
そう鈴香が思った その時だった。
雄一「ぎゃぁぁぁああああああ!」
二階の方から なんと 雄一の悲鳴が聞こえてきたでは
ないか。
鈴香「!行かないと」
鈴香はすぐさま、暖炉の部屋を飛び出て
二階へと向かったのであった…・
いったい雄一の身に何が起こったのであろうか!
そして屋敷に閉じ込められた 二人の運命は
どうなってしまうのか!
…つづく
ドドォォォォゥゥゥゥォオオン!!
「ぎゃぁぁあああああ」
凄まじい音と共に二階から雄一の悲鳴とも
聞こえる叫びが屋敷中にこだました。
鈴香は恐怖を覚えるより先に
一気に二階へと足早に駆け上がった。
鈴香「いない。ここにもいない。どこなの?」
鈴香は広い屋敷の二階の部屋を片っ端から開けてゆく
しかし、雄一の姿は何処にも見当たらない…。
そして最後の部屋を開けた。
その時!
目の前には驚くべき光景が広がった。
鈴香「ぁあ・あ…」
鈴香は絶句した。
そこには誰のものともわからない焼死体が転がっていたのだ。
鈴香「ま…まさか…雄一が…」
無論、鈴香にはにわかには信じられなかった。
いや信じたくなかった。
すると、ボロボロと今にも泣き崩れそうな鈴香の周りに
子供の頃嗅いだ、祖母の香水に似た
懐かしい香りが漂ってきた…。
鈴香「な、なんなのこの香りは…」
その香りが鼻に入ってくると、不思議なことに
今あった出来事が嘘のように
心が安らいでいくのを覚えた。
鈴香「……」
ドタッ。
鈴香はその場に倒れ深い眠りについた…。
と、そこには雄一と鈴香がいくら探しても見当たらなかった
老婆が悲しそうな表情を浮かべながら
焼死体と眠っている鈴香を見つめていた…。
…つづく 次回待望の最終回
すすぅぅうぅううぅ…
うぅぅううぅう…
鈴香が深い眠りについて、もうどの位の時間がすぎただろうか…。
…
やっと鈴香は深い深い眠りから、静かに目を覚ました。
どうやら 鈴香は暖炉の前で寝ていたらしい。
鈴香「そうだ!」
意識がハッキリとするにつれ鈴香の記憶も戻ってきたのだった。
鈴香「探さないと…」
鈴香は当然のごとく雄一の姿を屋敷中探した。
しかし、どの部屋も誰もいない。
勿論あの老婆さえ…。
遂に二階の奥の部屋を残すのみとなった。
鈴香は恐る恐る、祈るような気持ちで部屋を開けた…。
しかしそこには焼死体も欠片も残されてなかった。
鈴香「あれは、夢だったのかしら…」
そう独り言のように呟きながらも、雄一のことが気になって
しかたがない。
相変わらず部屋の扉は何処も固く閉ざされたままで
外へ出ることも叶わないし
鈴香は途方にくれた面持ちで玄関の前で立ちすくんだ。。
そして何気なく見た鏡に自分の姿が映った。
その瞬間!
鈴香「きゃぁぁあああああ…!!!」
鈴香は自分の変わり果てた姿に、驚愕した。
なんと、そこには自分の姿ではなく、
あの老婆の姿が映っているではないか!
と、同時に
あの自分が捜し求めていた人の
声が耳に入ってきた…。
雄一「ここ 立派な屋敷にしては、建てつけ悪いなぁ。
すいませ~ん。ごめんくださーい。
ん?うあ!」
老婆「…」
~劇終~