世にも奇妙な短編小説5ー恋愛編1ー純

愛してる、そぅ、死んであなたを愛してる…

私は孝史を一目見たときから決めていたの、
10月24日
それは孝史を愛し始めてから24年と79日目
孝史を一生愛していくことを密かに心に決めた時から、私の愛は続いている。


かといってストーカーなんて、どんなことか十分知っているわ。
  したこともない。

私の愛する孝史にそんな嫌がることをするわけがないじゃない。

それに孝史は既に結婚して子供もいる。
今は幸せな暮らしを過ごしている。

それで私は十分満足。

今では孝史の家族の健康まで心配する時もあるし、
私はこのまま孝史を愛し続ける。

そぅ、づっとこのまま…  そのはずだったのに…


     …つづく 

世にも奇妙な短編小説5ー恋愛編2ー陰

そぅ死んでも愛し続ける、そのはずだったのに…

前回から更に36年後…


孝史が離婚したと聞いた。

とっても幸せそうだったのに…。

実は私は2年前から孝史の姿を見ていない。
人づてで聞いたのだ。

それまで、私はまるでアイドルの追っかけのように
58年間、孝史の幸せを祈り陰から見てきた。

でも、もうそれも2年前から辞めることにしたの。
私は死ぬまで孝史を愛している、それだけでいい
愛し続け、孝史の幸せを祈り続けてる、それだけでいい。

そう自分に言い聞かせてきた。

でも離婚したとの知らせを聞いて
孝史の事を少し心配していた私に
ある日の朝、電話がかかってきた…

りりり~ん、りりり~ん
私「はい。もしもし」

それは幼なじみの絵里からだった。

絵里「ねえねえ、由紀、聞いた?あの由紀が気にしていた孝史君
事故で入院したんだって、何でもかなり危ないらしいよ」

由紀「…」

絵里「ねぇ、由紀、聞いてるの?もしもし、もしもし…」

ガチャ!

由紀「孝史が、そんな…まさか…」

私は突然の孝史の不幸に愕然とした。
(ど、どうすればいいの?)

そんな中、孝史は病院の手術台の上で…

     …つづく

 

世にも奇妙な短編小説5ー恋愛編3ー死

その頃孝史は手術台の上で死と闘っていた。

絵里の話では手術がうまくいったとしても、かなり危険な状態らしい。

私はいてもたってもいられなくなった。

でも…

私は58年も陰から孝史の事を愛していたけれど、
まともに話をしたのも、もう遠い昔の話。


いまさら、どんな顔で…

そう考えている間も時間は流れ、孝史の手術は終了した。

どちらにしても恐らく今夜が峠になるだろう。


気がつけば、私は孝史の病室の前にたっていた。


     …つづく 次回最終回

世にも奇妙な短編小説5ー恋愛編最終回ー愛

病室に入ると、私は孝史の眠っている顔を静かに眺めた…。
もうこんなに近くで顔を見るのも何十年ぶりだろう。

私はずっと孝史のことを陰ながら愛してきた。
その孝史が今目の前で、事故で危険な状態にいる。

(孝史、どうか死なないで…)

すると眠っている孝史の口からうわ言が聞こえてきた。

孝史「…ゆ…」

私は咄嗟に耳をすました。すると、

孝史「ゆき…」

私は驚きを隠せなかった。
だって孝史は年をとった私の顔なんかわかるはずないし、
(きっと他のゆきって人のことだろう)そう思っていると…

孝史「ゆきなんだろ…そこにいるのは…」

由紀「!」   私は言葉が出なかった。

孝史「由紀、わかるよ…だって俺は…ぐふっ!!」

由紀「孝史?孝史どうしたの!?

     たかしぃぃぃいいい!!!   


孝史は吐血し、そして死んだ。

 

それから数日後…



私は泣き続けた。

由紀「いっその事、私も…」

その時、玄関のベルが鳴り響いた。

郵便配達員「こんにちは~速達で~す。」

私は現実に戻され、無意識のうちに手紙を受け取り
宛名を見ると、その手紙はなんと生前の孝史からだった!


--由紀へ--

愛してる、死ぬまで愛している。
そう決めていた人が君だ。

もうお互い年を取ってしまったけれど、
このまま年老いて死んでいく前に
どうしても君に伝えたかった。
今まで、今でも、そして今からも君の幸せを心から祈っているよ。

ありがとう。  2007年10月24日

--孝史より---

それは孝史が事故を起こした同じ日に書かれていた手紙だった…


         …劇終